ゆらゆら。
ゆらゆらと。
ゆらりと陽炎が揺れている。
「……」
言葉も無く、ただ息だけを吐いて八雲紫は目を覚ました。
見慣れた博麗神社の天井。
いつの間にか掛けられていた布団を剥がして身を起こすと、雑魚寝している少女達と、空っぽになった無数の食器が床に転がっている。
典型的な宴会後の場景。
「早いお目覚めで」
食器を拾って重ねながら、博麗霊夢が皮肉を向ける。
「夢見がいささか悪くって」
「あら珍しい」
「ええ、本当に──」
秘封倶楽部×澁澤龍彦合同
『都心ノ病院ニテ幻覚ヲ見タルコト』
A5版 44頁 500円
目録
「珠が流れ着いたそうですよ」──うつろ舟
水晶玉越しに見える、拡大された逆さまの眼球。──画美人
「猫は何の役に立つ?」──菊燭台
宇佐見蓮が翌日、ホテルの浴槽の中で死んでいたのは紛れもない事実である。──ぼろんじ
平成26年3月2日 夢の世紀 魅知の旅
夢15「ゐた・せくすありす+Alya」にて頒布予定
「──酷く嫌な夢を見ましたわ」